◆12分野に認められた新しい在留資格
特定技能とは、深刻な人手不足の状況に対応するため2019年4月に新設された在留資格です。
類似の在留資格に「技能実習」がありますが、「技能実習」は日本の技術を学び、母国にその技術を持ち帰ることが制度趣旨となりますが、「特定技能」の場合は、ストレートに就労のための在留資格であり、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受け入れとされています。なお、受入れ企業に対しては、日本人従業員と同等以上の待遇にすることが義務付けられているほか、同一の業務区分内であれば、転職も認められています。
◆特定技能の種類と特徴
特定技能は、技能水準に応じて、「1号」と「2号」の2種類の在留資格が設定されています。
「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定技能1号 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事 |
---|---|
特定技能2号 | 特定技能産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事 |
※特定技能1号の在留資格は、「技能実習2号」を良好に修了しているか、又は分野ごとに行われる特定技能評価試験と日本語能力試験の合格証明書などにより、日本語のレベルが一定以上(JLPT日本語能力試験 : N4以上又はJFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト:A2(200点以上))であることを証明する必要があります。
◆受入れ分野(特定産業分野)
特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は、現状では下記12分野となります。(2023年12月末現在)
介護 | 農業 | 飲食料品製造業 | 外食 |
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宿泊 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 建設 | 航空 |
漁業 | ビルクリーニング | 自動車整備 | 造船・舶用工業 |
※なお、特定技能2号の対象分野には、「介護」は含まれていません。(2023年12月末現在)
◆特定技能1号と2号の相違点
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
---|---|---|
在留期間 | 上限5年まで | 無期限 |
技能水準 | 試験等で確認(ただし、技能実習2号の良好に修了した場合は試験等免除) | 試験等で確認 |
日本語 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(ただし、技能実習2号の良好に修了した場合は試験等免除) | 試験等での確認は不要 |
家族の帯同 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
支援 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援が必要 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援の必要なし |
◆特定技能外国人に必要な条件
「特定技能1号」「特定技能2号」いずれも各特定産業分野の試験に合格する必要があります(「特定技能1号」は日本語試験にも合格する必要があります)。
ただし、技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について関連性が認められる場合、試験が免除されます。
◆特定技能と技能実習の制度比較
特定技能1号 | 技能実習(団体監理型) | |
---|---|---|
関係法令 | 入管法 (出入国管理及び難民認定) |
技能実習法 (外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律/出入国管理及び難民認定法) |
在留資格 | 在留資格「特定技能」 | 在留資格「技能実習」 |
在留期間 | 通算5年 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 (合計で最長5年) ※職種、作業の種類によっては、2号、3号への移行に対応していないものもあります ※技能実習3号については、監理団体および実習実施者が優良認定されている必要があります |
技能水準 | 相当程度の知識又は経験が必要 ※試験や技能実習経験により評価 |
なし |
試験 | 「①技能水準」と「②日本語能力水準」を試験等で確認 ※技能実習から特定技能1号に移行する場合、技能実習2号を良好に修了した者は、上記①②の試験を免除される規定あり ※特に介護職種の場合は、EPA介護福祉士候補者として就労・研修を経た者は、別途免除規定あり |
なし ※介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり |
外国人へのサポート | 自社又は登録支援機関への委託必要 | 監理団体によるサポートが必要 ※一般監理団体、特定監理団体の2種類があります ※監理団体のほとんどは事業協同組合として設立・運営 |
外国人と受入れ機関のマッチング | 国内外の人材紹介会社等を通じて採用 又は 受入れ機関が直接海外で採用 |
通常、監理団体と送出機関を通して行われる |
受入れ機関の人数枠 | 人数枠なし(ただし、介護分野、建設分野を除く) | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり |
活動内容 | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(専門的・技術的分野) | 技能実習計画に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動(1号) 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号、3号) (非専門的・技術的分野) |
転籍・転職 | 同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能 | 原則不可。ただし、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、2号から3号への移行時は転籍可能 |
家族の帯同の可否 | 不可 ※ただし、特定技能2号で可能 |
不可 |
◆技能実習2号と特定技能との関係
技能実習の職種・作業から移行できる特定技能の分野(業務区分)は、下記のとおりとなります。
ちなみに、下記の技能実習「5 繊維衣服関係]は、移行できる特定技能の分野(業務区分)はありません。
◆ 特定技能14分野と技能実習(職種・作業)との関係
それぞれの特定技能分野に対応する技能実習の職種・作業は、下記の通りとなります。
◆特定技能外国人を雇用する際に留意すること
・各試験の合格前に内定を出すことは禁止されていません。
・特定技能外国人の技能試験及び日本語試験の合格と受入れ機関との特定技能雇用契約締結の先後関係については、基本的には、特定技能外国人が各試験に合格した後、受入れ機関との特定技能雇用契約を締結することが想定されます。
・特定技能雇用契約を締結した上で受験することもできますが、各試験に合格しなければ、受入れが認められないことにご留意ください。
◆各技能試験・日本語試験
【技能試験情報】
○介護分野 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html (厚生労働省)
○農業分野 http://asat-nca.jp/ (全国農業会議所)
○飲食料品製造業分野 https://otaff.or.jp/ (外国人食品産業技能評価機構)
○外食業分野 https://otaff.or.jp/ (外国人食品産業技能評価機構)
○製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野) https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/index.html (経済産業省)
○宿泊分野 https://caipt.or.jp/ (宿泊業技能試験センター)
○漁業分野 https://suisankai.or.jp/ (大日本水産会)
○ビルクリーニング分野 https://www.j-bma.or.jp/qualification-training/zairyu (全国ビルメンテナンス協会)
○自動車整備分野 https://www.jaspa.or.jp/mechanic/specific-skill/index.html (日本自動車整備振興会連合会)
○造船・舶用工業分野 http://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/evaluation/index.html (日本海事協会)
○航空分野 https://www.jaea.or.jp/ (日本航空技術協会)
○建設分野 https://jac-skill.or.jp/exam.html (建設技能人材機構)
【日本語試験(全分野共通)】
○日本語能力試験 https://www.jlpt.jp/(国際交流基金)(日本国際教育支援協会)
○国際交流基金日本語基礎テスト https://www.jpf.go.jp/jft-basic/(国際交流基金)
【日本語試験(介護分野)】
○介護日本語評価試験 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html(厚生労働省)